- AI電話は、言葉そのものではなく、会話の流れから「相手が何をしたいのか(意図)」を読み取り、次の行動を決めます。
- たとえば「結構です」は、場面によって「お願いします」にも「いりません」にもなります。AIは直前の質問や続く言葉から、どちらの意味かを判断します。
- 読み取った意図をもとに、用件の振り分け、緊急度の判定、担当者への引き継ぎを行います。迷ったときは聞き返して確かめるよう設計しておくことが大切です。
「AIに電話を任せて、言ったことを取り違えられないか」。AI電話の導入を考えるとき、気になる点の一つではないでしょうか。人どうしの会話では、同じ言葉でも場面によって意味が変わります。
この記事では、AI電話が言葉の意図をどのように読み取り、用件の振り分けや担当者への引き継ぎにつなげているのかを、具体的な言葉の例で説明します。
言葉どおりに受け取ると、取り違える言葉
電話でよく使われる言葉の中には、言葉だけでは意味が決まらないものがあります。
どの業界でも出てくる言葉
| 言葉 | 意味① | 意味② | 何で見分けるか |
|---|---|---|---|
| 「結構です」 | 承諾(それでお願いします) | 辞退(必要ありません) | 直前に何を聞かれたか |
| 「大丈夫です」 | このまま進めてよい | 必要ない、遠慮する | 直前に何を聞かれたか |
| 「いいです」 | それでよい | いらない | 続く言葉(「いいです、お願いします」「いいです、自分でやります」) |
| 「担当の方いますか」 | 担当者と直接話したい | 用件を伝えたいだけで、相手は誰でもよい | 用件を聞いてから、引き継ぐかどうかを決める |
| 「前に電話した件で」 | 前回の続きの用件 | 前回とは別の新しい用件 | 名前と、前回の用件を確かめる |
業界ごとの言い回し
業界によって、よく出てくる言い回しと、取り違えると困る場面は違います。
| 業界 | 言葉 | 意味① | 意味② | AIが確かめること |
|---|---|---|---|---|
| 賃貸管理 | 「ちょっと水が出てて」 | 軽い相談 | 今も水が止まらない緊急の連絡 | 今も出ているか、量はどれくらいか |
| 賃貸管理 | 「また音がうるさくて」 | 初めての相談 | くり返しの苦情 | 「また」「前にも」などの言葉、いつから続いているか |
| 賃貸管理 | 「鍵が開かないんですけど」 | 鍵や錠の故障 | 鍵をなくした(本人確認が必要) | 鍵が手元にあるか |
| 飲食店 | 「今日って入れますか」 | 当日の予約の希望 | 営業しているかの確認 | 人数や時間の話が続くか |
| 飲食店 | 「少し遅れます」 | 数分の遅れ(そのまま待てばよい) | 大きな遅れ(席の調整が必要) | 到着の目安の時間 |
| クリニック・治療院 | 「熱があるんですけど」 | 受診の予約をしたい | 症状の相談(AIは医療の判断をしない) | 予約したいのかを確かめる。症状の相談には答えず、医院が決めた案内を伝える |
| クリニック・治療院 | 「いつもの薬だけほしいんですが」 | 処方のための予約 | 薬についての相談 | 予約か相談かを確かめる |
| 美容室・サロン | 「いつもの感じで」 | 前回と同じメニュー | いつもの担当者を指名 | メニューと指名を分けて確かめる |
| 美容室・サロン | 「空いてるところで大丈夫です」 | 日時はおまかせ | 担当者の指名はなし | 日時と指名のどちらを任せるのか |
| 工務店・リフォーム | 「ちょっと見てほしいところがあって」 | 新しい見積もりの相談 | 工事をしたあとの不具合 | 以前に工事をしたお客さまか |
| 工務店・リフォーム | 「急ぎではないんですけど、雨漏りが…」 | 言葉どおり急ぎではない | 今も雨が漏れている緊急の連絡 | 今も漏れているか、家財がぬれていないか |
※ 説明のための例です。会社ごとによく出てくる言い回しは、打ち合わせで伺ってAIの聞き取りに反映します。
AIは、会話の流れから意図を読み取る
特定の単語に反応するだけの仕組みでは、「結構です」のような言葉を正しく扱えません。AI電話は、直前の質問、相手の答え、それまでの会話の流れをあわせて、相手が何をしたいのかを判断します。
同じ「結構です」でも、意味が変わる例
担当者から、明日の午前中に折り返しお電話してもよろしいですか。
はい、それで結構です。
承知しました。明日の午前中に、担当者からお電話いたします。
ほかにご用件はございますか。
いえ、結構です。
承知しました。お電話ありがとうございました。
※ 説明のための例です。前半の「結構です」は承諾、後半は辞退の意味です。
意図がわかると、次の行動が決まる
電話を受けるAIにとって大事なのは、意図を読み取ったうえで「次に何をするか」を正しく選ぶことです。AI電話は、1本の電話の中で次のような判断をくり返しています。
- 用件の振り分け:どの部署・担当者に報告するか
- 緊急度の判定:すぐ人につなぐべきか、受け付けて報告すればよいか
- 引き継ぎの要否:AIで受付を終えられるか、担当者に引き継ぐべきか
- 次に聞くこと:用件に合わせて、何を確かめるか
| かけてきた人の言葉 | 読み取る意図 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 「天井からポタポタ水が落ちてきて…」 | 漏水の連絡(緊急の可能性) | 今も落ちているかを確かめ、当番の担当者へ転送 |
| 「隣の部屋から煙のにおいがする」 | 火事の可能性 | 場所と状況を聞き取り、担当部署へすぐ報告 |
| 「来月で退去したいんですが」 | 契約についての相談 | 用件と折り返しの希望時間を聞き取り、契約の担当へ引き継ぎ |
| 「明日の予約、1人増やせますか」 | 予約の変更 | 名前と内容を聞き取り、お店にメールで報告 |
※ 説明のための例です。振り分け先や対応は、会社ごとに決めます。
番号ボタンで用件を選んでもらう自動音声(IVR)では、かけてきた人が自分で用件を選ぶ必要があります。AI電話なら、話した内容から用件を判断して振り分けられます。
判断に迷ったら、聞き返して確かめる
意図を読み取れるといっても、言葉だけでは決められない場面はあります。そのときに推測で進めてしまうと、取り違えの原因になります。導入前に、迷ったときの動き方を決めておきます。
- 意味が2通りにとれるときは、確かめる質問を返す(「お送りしてよろしいですか。それとも不要でしょうか」)
- 緊急かどうか迷ったら、緊急として扱う
- 振り分け先を決めきれないときは、受け付けて担当者に報告する
- 「人と話したい」と言われたら、決めたルールで担当者につなぐ
選べる行動を、先に決めておく。振り分け先、緊急度の分け方、引き継ぐかどうか。AIが選べる行動を先に決めておくと、AIの判断がぶれにくくなります。
AIの「判断」に特化した技術も進んでいる
電話を受けるAIの技術は、文章を作る部分だけでなく、「判断」の部分でも進んでいます。最近では、文章を一語ずつ生成するのではなく、あらかじめ決めた選択肢の中から次の行動を選ぶことに特化したAIも登場しています。問い合わせの振り分け、優先順位の判定、担当者への引き継ぎといった判断を、速く安定して行うための技術です。
言葉の意図を読み取り、決めた選択肢から次の行動を選ぶ。この記事で説明した考え方は、こうした技術の進み方とも重なっています。
導入前に、自社の言い回しで試す
よく使われる言い回しは、業界や会社によって違います。導入前に、次のことを整理しておくと、AIの聞き取りを会社に合わせやすくなります。
- よくかかってくる電話と、そのときの言い回し
- 取り違えると困る言葉や場面
- 用件ごとの振り分け先と、緊急として扱う連絡
GRITYでは、打ち合わせのあとに目的に合わせたデモをお作りします。いつもの言い回しで実際に電話をかけて、AIがどう受け取り、どこに振り分けるかを確かめていただけます。
まとめ
- AI電話は、言葉そのものではなく、会話の流れから相手の意図を読み取ります。
- 「結構です」のように意味が2通りある言葉も、直前の質問や続く言葉から判断します。
- 読み取った意図をもとに、振り分け・緊急度・引き継ぎを決めます。迷ったときは聞き返して確かめるよう設計しておきましょう。
いつもの電話の言い回しで、AIの聞き取りを試してみませんか。
GRITYは、業界を問わず、全国の事業者向けにAIコールセンターを構築・運営しています。よくかかってくる電話の言い回しを伺い、振り分けのルールまで一緒に決めます。全国どこでも、訪問での打ち合わせに伺います。伺ったお話をもとに目的に合わせたデモをお作りし、実際に電話をかけて試していただけます。
